有識者インタビュー

EC担当者は、メルマガではなくメールマーケティングへ意識を変えるべき

メールはもう終わったマーケティング手法なのか?

数年前にソーシャルメディアが台頭してきた際によく「もうメールは終わったよ」という声が聞かれました。同業のネットショップをやっている人たちからも「最近メールの効果がよくないね」という話を聞きますが、果たしてそうでしょうか?

終わったのはメルマガ

私は、ネットショップにおける最終的な購入の意思決定はいまだにメールが一番ウェイトを占めていると思います。実際にたくさんのネットショップをみていますが、儲かっている所ではメールからの購入は落ちているどころか、伸びている企業が多いです。ただし、ここでいうメールとは「メールマガジン」ではなく、「メールマーケティング」です。

メールマガジンとは一括で全員に同様に配信するメールのこと。
そしてメールマーケティングとはユーザーの<行動>や<属性>に基づいて
「最適なタイミング」「適切な頻度」「顧客が必要な情報を伝える」ことです。

メールを受け取る顧客視点の考え方

例えば少し熱が出た時に病院に行って、診察してもらって、薬を買ったとします。
その時に病院の先生にメールアドレスを教えたとして、

Aの先生からは毎週一回
「なんと話題の風邪薬が今なら30%OFF」
「緊急入荷!最新目薬が限定100個、今すぐ急げ!」

というメールがきます。

Bの先生からは当日の自宅に帰るころに、
「先ほどは当病院を選んでいただいてありがとうございました。薬はかならず食後ではなく、食前に飲んでくださいね。お大事に」
とメールがあり、翌日には、
「昨日はその後熱が下がったでしょうか?もし下がっていないようなら、食前に少し多めに服用することをおすすめします。ただし、眠くなりやすいので、もし運転や仕事中の場合は気を付けてくださいね」
というメールがあり、5日目には
「前回の薬がちょうどなくなるころになりましたが、お体の調子はいかがでしょうか?
もしまだ体調がよくならないようなら、再度病院にお越しいただくか、一度私まで電話いただけますか?」

というメールを送られてきます。

Bなら仮に病気が治っていたとしても、次に病気になった時に同じ病院に行きませんか?
Aは、三回目からまったくメールを見なくなるか、配信ブロックしますよね(笑)

顧客が欲しがる情報提供を意識する

メールというツール自体がよくないわけではなく、使い方が変わってきています。 今までのように件名を刺激的なキャッチコピーにして煽ったり、 安売りの内容じゃなければメール配信をしない、という考え方から、 顧客の視点を考えて、こんな情報がほしい、という内容のメールに変えていく必要があります。 最近自分の会社のメールを読んでいないな、と感じたら、 今すぐ考え方をメルマガからメールマーケティングに変えていきましょう。

西井敏恭
著者プロフィール

西井敏恭(にしい としやす) 1975年5月24日生まれ
株式会社warmth 代表取締役CEO

【経歴】
金沢大学大学院卒業後、2003年からネットショップに携わり、小売りサイトやモバイルEC、単品通販など大小様々なネットショップを経験。
現在は食品宅配のオイシックス株式会社でCMOとして事業に関わりながら、株式会社warmthの代表取締役CEOとして、CMOのアウトソース事業をおこなっている。