有識者インタビュー

メールこそ、今も昔も最も効果の出るデジタルマーケティングである

メールマーケティングを取り巻く状況
デジタルマーケティング領域で目新しさを失ったメール

メールマーケティングという言葉もすっかり目新しさを失い、メールは企業が自社の顧客や潜在顧客に対し情報を発信する手段として、もはや当たり前になっていると思います。新たに企業のサービスの会員登録をする際、メールアドレスを記入しないことなど、いまではほとんどないのではないでしょうか。

むしろ、ここ数年で企業のデジタルマーケティングの領域にはFacebook、Twitter、LINEなどソーシャルと呼ばれるこれらのサービスをどう活用して、新規顧客にリーチあるいは潜在顧客にブランド・製品メッセージを伝えるかがデジタルマーケティングの話題の中心で、メールマーケティングはどちらかというと「日陰」の印象を受けます。

古いわけではなく、当たり前の存在
それでも最も効果の出るのがメールマーケティング

ただ、企業がメールマーケティングを実施しなくなったということではなく、むしろ、既存の会員や顧客に対してのコミュニケーションチャネルとしては、メールはもはや当たり前のの存在ということなのではないでしょうか。 Amazonや楽天などでは、やはりメールによるプロモーションが他の施策よりも一番効果があるという話も聞いたことがあります。データ、いわば、宝の山と技術力を持っていれば、データを活用しない手はないわけで、次にすすめる商品や合わせ買い、買い忘れを促すメールなど、顧客の購買サイクルに合わせたメールが皆さんの元にも日々届いていると思います。Amazonや楽天ほどのデータや技術力がなくても、大概のECサイト、ショップを運営するサービスは顧客情報の管理機能、それと連携したメールマーケティングを実施できる機能が備わっていると思いますので、ちょっとした工夫と労力で、より効果的なコミュニケーション、リピーター育成、顧客あたりの購買単価向上につながるのではないでしょうか。

MakeRepeterのような、ネットショップ構築・運営サービスと直接連携したメールマーケティングサービスを利用すれば、現在の会員データや購買履歴を元にすぐにでもメールマーケティングがはじめられます。もし、これまで特に計画的にメールマーケティングを実施してこなかったのであれば、以下のポイントを参考に、是非、御社ならではのメールマーケティングを実施してみてください。

メールマーケティングのポイント
「伝えたい内容を、伝えたい相手に、伝わる表現で、適切なタイミングで伝える」簡単にまとめると、要はこれだけです!

<伝えたい内容>
ネットショップとしてイチ押しやタイムセールなどの情報はもちろん、過去の購買履歴を元に、購入したブランドの別ラインナップや合わせて利用されるものや、閲覧したあるいは検索されたが購買に至らなかった商品などを盛り込むことで、個々のお客様のニーズに訴求することができるのではないでしょうか。いわゆる、One to Oneマーケティングで用いられる手法です。
MakeRepeaterの「シナリオメール設定」を利用すれば、性別などのデモグラ情報と購買履歴をベースにメールを自動的に配信することができます。例えばAという商品を購入した30代女性に、購入からX日後に、フォローアップメールを送り、顧客フォローと共にBという関連商品情報を一緒に記載するなど、様々なシナリオが想定できますね。

<伝えたい相手に>
伝えたい相手は商品を購入してくれた顧客、あるいは、サイトを訪れて会員登録はしてくれたものの、まだ購入に至っていない潜在顧客なども当然該当すると思います。あるいは、過去1年商品を購入していない休眠顧客なども重要な「リピーター」候補ではないでしょうか。メールマーケティングを実施するのであれば柔軟に顧客をセグメント化できる機能・サービスはもはや必須だと思います。
MakeRepeaterでは、顧客の行動をベースに、「初回購入から3ヵ月未満の間に2回目以降の購入をし、かつ離脱期間が8ヶ月以上のお客様」を離脱入門客として定義しています。同じ商品を訴求するのであってもセグメント毎に、異なる表現、異なるメッセージを準備することも必要になります。セグメントごとに訴求ポイントを変えていろいろ試してみるのが良いかと思います。

<伝わる表現で>
これはご自身の商品に愛があれば、おのずとそれを伝える表現も愛に満ちているはず。となるわけなのですが、対面のコミュニケーションでもそうですがなかなか、伝えるべきことをポイントを抑えて、しかも、愛のエッセンス?を注いで、表現するのはなかなか難しいものです。どんな表現が適切かは、商品や顧客セグメントによっても異なってきますので、一概には言えないものですが、最初はやはり、「真似」ではないでしょうか。
ご自身が楽しみにしている、あるいはついつい目を通してしまうメールのニュースレターの表現を真似てみるのもおすすめです。また、本文だけでなく、件名の表現も複数パターン用意してみてどれが一番反応がいいか(ここでの反応とは、HTML形式のメールであれば開封された数や開封率、メール本文中のリンクのクリック数などを指します。そのメールが転送された数を計測できるツールやサービスもあります。)、件名や本文パターンを複数用意したら、受信対象者をランダムに均等に分割して、それぞれのパターンを配信して比べるなど、いわゆるA/Bテストなどを繰り返してみると、だんだんと自社に適した表現などが確立されてくることでしょう。

<適切なタイミングで>
サイトを訪れてからX日経過、前回商品を購入してから、Y日経過、あるいは顧客のお誕生日や何かしらの記念日など。メールマーケティングの醍醐味はなんといっても、あらかじめ設定したタイミングやシナリオに基づいて、適切なコンテンツを適切な表現で配信することではないでしょうか。最初の三つの要素が完璧でも、この「タイミング」を見誤ってしまうと、効果は半減してしまいます。
初回購入日、最終購入日、最終配送日、お誕生日など、購買履歴や会員情報にはいくつもの重要な日付データが存在すると思いますが、この日付データを上手に活用して、適切なタイミングでメールを配信することができれば、かなりの上級者です。
適切なタイミングは当然、商品の種類、性質により異なりますが、同じショップから頻繁にいろいろなメールが配信されて来ると効果も半減してしまうので、注意が必要です。
MakeRepeaterにある「シナリオメール」のスケジュール配信を活用すれば、ある行動が発生した日を起算日に、あらかじめ設定した間隔でフォローメールを配信することができます。

以上、メールマーケティングをはじめる際に考えていただきたいことを簡単に列挙いたしました。

ゴール設定と運用体制、そして…

コミュニケーションツールとして、その位置を不動のものとしたメール。ソーシャルメディアやスマホとの補完関係を考えると、メールマーケティング戦略こそ、デジタルマーケティング戦略の「要」と言っても過言ではないでしょう。これからメールマーケティングをはじめようとしている企業、あるいはネットショップのオーナーさまは、実際にメールマーケティングをはじめる前には是非、メールマーケティングのゴールを明確にし、ご利用のサービスでできることできないことを明確にしたうえで、無理のない体制で実行していただきたいと思います。
とはいえ、メールマーケティングはまさにコミュニケーション、対話です。はじめからあまり難しく考えず、誰しもが普段からおこなっているような、人と人とのコミュニケーションに対するちょっとした気遣いを忘れずに実施していけばよいと思います。

※本記事は個人の見解を示したもので、現在および過去に帰属した組織の見解とは一切関係ございません。

本多由美
著者プロフィール

本多由美(ほんだ ゆみ) 1975年生まれ
アドテクノロジー会社勤務、美容・健康関連商品愛好家(オタク)、自主制作映画プロデューサー

【経歴】
アメリカの大学にて演劇学専攻後、2000年メールマーケティングを提供するネットベンチャーに入社。クライアントサービスマネージャとして、外資系PCメーカーおよびクリエイティブ制作ソフト大手のメールマーケティングキャンペーン設計、運用およびレポーティングに携わる。2004年、ディスプレイ広告テクノロジーを扱う会社の後、2008年グーグル株式会社にて、YouTube広告商品、ダブルクリック製品を担当。2011年一橋大学大学院 国際企業戦略研究科にてMBAを取得。現在はリターゲティング広告テクノロジーを提供するCriteoにてAPACサービスオペレーションチームを統括。